2007年5月9日水曜日

Q1:そもそも「社会起業家」って何?

A1:政治や行政だけでは解決できない切実な社会的課題に対して、「ビジネスの手法」を含めたあらゆる手段を使って解決しようと働いている人たちのことです。

 

今日では、政治や行政だけでは解決できない社会的課題が世界中にあふれていますよね。

失業、貧困、障害者の自立、老々介護、子育てと仕事の両立、環境問題、農業の後継者不足、在日外国人問題、親の資産格差による子どもの学力格差など、ね。

これらを放置したままでは、自殺や死に追い詰められてしまうような「社会的弱者」があふれかえってしまいます。

それぞれの問題の当事者である「社会的弱者」は、社会の中では少数派です。

ですから、「最大多数の最大幸福」を目標とする(=多数派の意見を優先する)政治や行政では、救いきれない事情がありました。

そこで、彼らの苦しみを自分の苦しみと感じ、「見殺しには出来ない!」と感じた一部の人が、自分自身が人並みの暮らしができなくなるかもしれない危険を覚悟しながらも、「1人でも救いたい」という熱い思いから解決行動を始めたのです。

「社会起業家」という言葉が流行る前まで、そうした解決行動を担ってきたのは、今日ではNPO法人のような団体を組織する市民活動家と、心ある起業家でした。

市民活動家は、長い間、「社会的弱者」自身や運動に共感する仲間からわずかな会費を徴収したり、自治体や企業などから返済不要の助成金や事業受託費をかき集めるなどして、解決行動にかかる費用を何とかねん出してきました。

どんな解決行動にも、お金がかかってしまうものです。

広報やサービス、備品、事務所の家賃、連絡先の電話代などの通信費など。

毎日のように活動すれば、活動に専念するスタッフが飢え死にしない程度の人件費(給与)もかかります。

しかし、社会的課題が年々増加し、それと比例するように解決活動を新たに始めるNPO法人が増えていけば、助成金の奪い合いになります。

(※現在、日本では内閣府や自治体からの認証を受けたNPO法人だけで、約36000団体もあるのです)

たとえば、昨年まで毎年県や企業などからもらっていた助成金が、今年は減額されたり、もらえなくなってしまうことだってあります。

助成金に依存した運営では、解決活動が持続可能にならなくなってしまうのです。

そこで困ってしまうのは、目の前の「社会的弱者」です。

「でも、お金がないんだもん。しょうがないよね…」

そう言いながら、社会的課題の解決をあきらめてしまう人も少なくありません。

一方で、「お金がなければ、自分で作るだけだ。絶対に社会的弱者を見殺しにはしない!」と、助成金や寄付金などの他人の金をあてにせず、自主事業として自ら収益を作っていく(=ビジネスを始める)ことを始め、「事業型NPO」へ転換していった方々がいます。

それが、事実上の「社会起業家」の姿です。

もちろん、自主事業を持たなくても寄付集めを戦略的に行って活動費を賄ったり(例:room to read)、知恵を使って出費を極力しなくても持続可能な活動モデルを開発する(例:NPO法人リコリタ)ような姿も、「ビジネスの手法」を使う社会起業家のバリエーションです。

いずれにせよ、社会起業家にとって社会的課題の解決が最優先の活動目的なので、活動を続けることで自分の年収を年々右上がりにしていくことは二の次か、同時に行われることであり、社会的課題の解決より優先されることではないのです。

だから、支援する側の自分自身もなんとか生活が維持できる程度に稼ぎながら、浮いた金は次の解決活動資金に少しでも回して解決活動を持続可能にするように努力し、一人でも多くの社会的弱者を救済しようと考えるわけです。

たとえば、福祉作業場で月給一万円を強いられている障害者の方は、今なおたくさんいます。それでは経済的な自立が望めず、結婚も子育ても難しいままです。

そこで、「なんとか月給510万円の仕事を作れないか?」とビジネスモデルの開発に奮闘している社会起業家もいます。

そういう社会起業家は、毎日のように障害者のことを第一に考えていますから、自分が年収アップしていくことよりも、一日でも早く障害者の月給をアップし、一人でも多く障害者の方が経済的に自立できるように望んでいるので、自分が健常者の平均月給を保証されていると、「申し訳ない」と感じる時さえあるのです。

それぐらい、社会的弱者と共に生き、彼らの境遇を他人事にせず、対等なパートナーシップとして自らの人生を彼らと一蓮托生にしているのが、社会起業家の誇り高き姿だろうと思います。

つまり、社会起業家にとってビジネスはあくまでも社会的課題を解決する「手段」にすぎず、社会的課題を解決することを最優先にするという目的(ミッション)からブレません。

そういう社会起業家が世界中で20年以上前から増え続け、日本でも同時期から現れ始め、あなたの住む地元でも人知れず、社会的弱者を救っているのです。

【関連リンク】

Q3:「社会起業家」と「社会貢献企業」、「ボランティア市民運動団体」の違いは?


●CCCの公式サイト

●mixiコミュニティ「社会起業支援サミット2009

「社会起業支援サミット」運営マニュアル

●スタッフ募集のフライヤー

●ソーシャルベンチャー社会起業家ない

社会起業家ブックリスト

●無料通話できるスカイプのダウンロード

今一生のスカイプIDcon-isshow

市販の1000円程度のスカイプ専用ヘッドセットが必要です)

FAQのサイトへ


文責:今一生(社会起業家支援委員会・代表代理/Create Media代表)